木原真男、masao kihara

 

 

 

"Solo exhibitiom" at Gusto House Kobe 2008

 

 

 

 

 

木原真男、masao kihara

 

「美しき魂」 2008

 

 すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利について平等である。

人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神を持って行動しなければならない。

                                    世界人権宣言 第1条

 語らねばならないのに言葉が出ない。君の死は一枚の写真で知った。路面に残された黒いシミが人間の血であることがすぐに理解できた。ボスニアだったか、サラエボ? 15才の少年、狙撃された、と記されてていた。 1993年7月のある日、君は自転車に乗って走っていたのだ。どこかに遣いに行った帰りだろうか。自転車の荷台には小さな包みがくくりつけられていた。そうだ!きっと家に向かっていたのだ。お母さんが君の帰りを待ちわびておられたに違いない。君は一撃で倒された。自転車にまたがったまま半円を描いて倒れたのだ。どんな言葉も発することなく。何というむごたらしいことを! 撃ったやつの顔は見えない。建物の陰に、カーテンの裏に隠れていたからだ。撃ったやつは獲物をしとめた狩人のように やった!と叫んだだろうか。

 写真には君の姿は映っていない。血痕と残された自転車だけが君の不在を突きつける。時間が止まった。世界はそこで凝固した。もう永遠に生きた時間は流れない。君の死後再び春は巡ってきたけれど、もうしれは生きた春じゃない。

 そうさ! 僕には資格はない! 君に語りかける資格は! でも僕の中の熱いものが語らせるのだ。君を巡って、一枚の写真を巡って。僕の中にはどろどろとした溶岩のようなものが流れている。君の中にも流れていたはずだ。それは人間の善も悪も飲み込んでいく。今、君はきっと高いところからこの地上を見下ろしているだろう。悲しみをたたえた瞳で。

 僕はウロウロと歩き続けた。狭いトンネルの中を、暗がりの中をつま先で足もとを確かめながら。時々人の声が聞こえるが、いや風の音かもしれない。そのたびに心の底の水面がざわめきたつ。僕に伝わるのは微細な空気の振動だけであるが世界が燃え上がっているということには確信が持てる。

 あれらの言葉が宣言として採択されるまでにどれほどの人たちの涙と血が流されなければならなかったのか。宣言をあざ笑うがごとくに今も血は流され続けている。フロイトいわく人間はその始まりにおいて人殺しを行ったという。自らの大切な人の死に出会ったときにはじめていのちのかけがえのなさに気づいたのだと。人殺しの血は僕の中にも流れている。感情の昂ぶりは理性的な判断力をたやすく奪ってしまう。なるほど大国の大統領がやすやすとパンドラの筺に手をつけてしまったわけではある。彼は未だにそのことを正当化し続けているのだが、人殺しの興奮は彼から去らないのであろうか。

 

 

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